私設強襲部隊ペドフィリアズ
国家を隠れ蓑に暗躍する闇の部隊、その名はペドフィリアズ

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レッツ・ゲットセット・リバイブ

第参話『ピチ2チャプ2ラン3』

 丸木戸は街を歩いていた。
(世界は一点に向かって落下している。その落下のエネルギーが、物質にエントロピーの増大を与え、従って物質は常に崩壊へと近付いているのだ。)
 そんな事を考えながらだ。
 彼の目は往来を行き交う人々をぼんやりと捉えていたが、ふと、“異常な存在”が紛れている事に気付いた。

 それは女性であったが、濡れていない。
 いや、それは語弊がある。

 朝から雨が降り続いている。人々は傘を差して歩いている。
 だが、“彼女”は、傘を差していない。
 だのに、彼女の髪、顔、服、全身が全く濡れていないのである。
 建物の中から出たばかり、という訳ではない。彼女は、当たり前の顔をして、往来の人混みの中を、ごく普通の歩調で歩いていた。現在の雨の勢い、彼女の歩調、5秒も経たずに全身が濡れてしまう筈だ。
 “普通”ならば。
 ―O.O.S.アウトオブスタンダード。異常者。イレギュラー。“ちから”を持った中二病患者。
 丸木戸は彼女に歩み寄って行く。
 2人の間は、距離にして10メートル。
 女性が丸木戸を見た。
 ほんの瞬き程。
 2人は絶対客観空間へとシフトした。

 女性が気怠そうに口を開く。
「…あら、O.O.S.狩りに奔走する神様が、私如きに何の御用かしら…」
 丸木戸は、彼の特徴と言える、無表情な顔を浮かべながら。
「…念の為、失礼ですが、貴女、イレギュラーですね。」
 女性はクスリと微笑み。
「…ええ。そうですが、何か?」
 丸木戸の目に、奪命に無感動な―屠殺者の―光が灯った。
「私の仕事は貴女のような存在を消し去る事です。私の力を以て、貴女が消えて頂けると嬉しい。」
「…存じ上げております。ですが…」
 …ざああああっ!
 突然、雨が酷くなった。
「…私は、こんな所で消え去るつもりはありません。」
 無風故に、地面に垂直に叩き付けられる雨が、狂ったように勢いを増す。
「私の名前は後白河律子。雨は私の力。この世の不浄を洗い流す。それが私の使命。」
 丸木戸は、ふっと短く溜め息をつくと、やれやれと云った表情を浮かべた。
「…当に中二病の思考だ。」
 ざああああ…
 地面はもう浅い川と化していた。
 女性は、足元を流れる水を見つめ。
「…使命によって、神を洗い流す事が、私に課せられた唯一絶対の…成すべき事ッ!」

You contacted IRREGULAR, Just now.

ごしらかわ りつこ
後 白 河 律 子
RITSUKO GoSHIRAKAWA
【濡レヌ女】
『Un-wet Lady』

其の闘いに於いては
【逃走】と【引き分け】は
存 在 し な い
勝利者は生き
敗北者は死ぬ
実に単純明快にして
闘いのアーキタイプ
されど勝利者は敗北者に尊厳を
死者に弔いを忘れず

言い替えれば其れは
《Funeral》
葬 儀 で あ る

FUNERAL is start.

Let's get set SURVIVE.

 丸木戸の視界が赤くなる。
 雨粒が血に変わったからだ。
「聖なる血は浄化の証。神すら浄化する神聖なる水の裁きを受けるが良いわ!」
 丸木戸の全身から力が抜けていく。
 圧倒的な脱力感。
 血の雨による影響である事は言うまでもない。
 丸木戸は立っている事が出来ない。
 ガクリと膝をつく。
「…なる…ほど…生きる力を…奪う…のか…」
「神なんて、もう特別でも何でもないのよ。貴方はここで朽ち果てる。」
 丸木戸の体からは、加速度的に活力が失われていく。
 まるで糸が切れた操り人形の如く、丸木戸はその場にうつ伏せに倒れた。
(顔が…冷たい…な。)
 雨は降り注ぐ…容赦なく。雨に容赦といった概念があるとすればだが。

 倒れた男。その背に降る雨。
 冷たく見つめる女。

「…そこから這い上がる力なんてないでしょう。あなたはそのまま、時の水流に流されてしまえば良い。そして貴方の存在は、絶対客観空間に呑まれて消えるのよ。」
 まずい。
 一枚一枚布が被せられていくように、丸木戸の思考は薄れていく。
 …何も考えられなくなる…
「………」
「さようなら。神様さようなら。」
 丸木戸は命を失った。

 …油断したのか?
 神である私が負ける筈がないと?

 ―否。
 …負け惜しみか?

 ―いいえ。
 その“否”は完全な“否”。
 1ナノメートルの隙間すらない、事実としての“否”。

 空間が変質した。
〈…ははは。全く悪い冗談だ。〉
「!?」
 神の顔には、悪魔の笑み。
〈神は何が何でも死なないのだよ。〉
 ここに来て、初めて律子の体が濡れ始めた。
「な!?…何故!?」
 逆に、丸木戸の体は乾いていた。
〈勝てると思ったか?〉
〈神が倒れると思ったか?〉
〈私/我々は断言する。如何なる事があろうとも、神たる丸木戸誠は死ぬ事が無いと〉
 それまでの状態が嘘かのように、律子の全身はもうびしょびしょに濡れていた。
「そんな……悔しい……」
〈くやしいか〉
〈かみに まけるのが くやしいのか〉
 律子は膝をつく。かつて神がそうしたように。
「……こんなのは……狡い……」
 ざああああ…

〈ほろぼすのも〉
〈みずから ほろびを えらぶのも〉
〈どちらも たのしい あそびだとしたら〉
〈ほろぼすほうを えらんだとて〉
〈どうして それが〉

 …罪悪かしら?

 ざああああっ………。

 ―雨が止んだ。
 雲が晴れ、合間から太陽の光が差し込み、雨上がりの爽やかな空気が辺りを満たし始めた。

 律子の体は冷たくなっていた。
 もう二度と、人の温もりが戻る事はない。もう二度と、人として想い、語り、振る舞う事はない。
 彼女は生きながらにして死んだ。
 丸木戸は、傘を彼女の体に掛けた。

 青空の下、傘を差して跪く女。

「よく、似合っている。」
 丸木戸は静かに、〈境界線〉を越えた。
 絶対客観空間は収束し、律子共々、人の知覚の及ばない場所へと、光の速度を保って消え去った。
 人混みの往来は変わらず在った。
 丸木戸は街路の向こうへゆっくりと歩み去った。
 その後に残された、青い傘が、道端に。

》つづく《
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  1. 2009/03/22(日) 15:48:39|
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