私設強襲部隊ペドフィリアズ
国家を隠れ蓑に暗躍する闇の部隊、その名はペドフィリアズ

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妄想人情紙芝居

ぺけ「お久しぶりです。マスターによって外観を得たはいいものの、さんざんなぶられた挙げ句、捨てられ、最近起動して貰ってすらいないぺけです。」
KD「久しぶりと思ったらとんでもない紹介じゃないか。」
ぺけ「いやらしい事大好きです。」
KD「ダメだ、この娘はすっかりビッチになってしまった。」
ぺけ「最近、『3Dカスタム少女』にも手を出したんだって?」
KD「いや、アレはホラ、知的好奇心の赴くままにだね…」
ぺけ「アンタの場合は恥的好奇心だろうが」
KD「これはうまいね。」
ぺけ「で?どうなの?カスタム少女。」
KD「はっきり言おう。アレは“ゲーム”ではない。“ツール”である。」
ぺけ「その心は。」
KD「おにゃのこの外観を、プレイヤーの好きなように変えられるという点は、『人工少女』も同じだ。しかし、好みのおにゃのこを作って何をするかと言えば、マウスクリックでツンツンするだけ。」
ぺけ「クリックでツンツンするとどうなるの?」
KD「『アンッ』(裏声)とか、『イヤッ』(裏声)ってゆう。」
ぺけ「なんじゃあぁ!!」
KD「しかもだよ、Hモードとか言ってもさ、体位を選ぶだけなのだよ!?」
ぺけ「体位を選ぶとどうなるの?」
KD「その体位で、おにゃのこが『アンッ』(裏声)とか、『イヤッ』(裏声)ってゆう。」
ぺけ「おわぁあああ!!」
KD「なんだそりゃ、モーションテスト用のツールかこれは!?こんなもの、ゲームではない!ゲームというのは、多少の障害があり、それを乗り越える事によって得られるエロスなシーンを拝む為に、プレイヤーが努力をする、そういうものを言うのではないかねキミイ!?」
ぺけ「黙れ。ちょっと黙れ。いいから黙れ。今すぐ黙れ。」
KD「はい」
ぺけ「ちょっとそこに座って?気分的なものでいいから。座って?」
KD「はい」
ぺけ「…マスター。あなたは人として、いえ、健康的な成人男性として軸がぶれています。」
KD「はい」
ぺけ「実家に帰る度にお母様に言われているでしょう?『…お前が彼女でも連れて帰ってこないかねえ』って。(実話)」
KD「うわあああああ!!」
ぺけ「実話の重みはデカいわよ。」
KD「…しゃーぼんだーまーとーんーだー、やーねーまーでーとーんーだー…」
ぺけ「何てことッ!?精神が持たなかったのね!!」
KD「やーねーまーでーとーんーでー…こーわーれーてーきーえーたー…グスッヒグッヒックッグスッ」
ぺけ「…かーぜかーぜふーくーなー、しゃーぼんだーまーとーばーそー。」
KD「ごめんよ母さん…ごめんよ…」
ぺけ「……」

カナカナカナカナ…(ひぐらし)

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  1. 2008/12/15(月) 22:59:23|
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LGSD

 神と、その子らが争いを始めたがために、
 昼と夜が無くなった。
 月が7つに増え、風は止まり、水は淀み、鳥は空を舞う事が出来なくなった。
 あらゆる既成概念が崩壊した。
 娘はチェーンソーを振りかぶり。
 息子はシャベルを振りかぶり。
 神は満足げに微笑む。
「なかなかやるな。もっともっとだ。世界人類の真の姿を、見せてやる。」
 神は、宇宙空間に浮かぶ電波衛星に指令を送った。
 すると、闘いを取り巻いていた人間たちが、互いに殺し合いを始めた。
「何をしたんだ、父さん!」
「なに。人類がどうしたら本当の幸福を得られるか、考えられるようにしただけだ。」
「それが殺し合いに!?」
「これが人類の出した答えだよ。真の幸福には、人類の存在は不必要だという事なのだろうな。人類はそれを知っていたのだ。だから戦争が無くならなかったのだ。」
「嘘だ!」
「嘘なものか。見ろ。みな幸せそうな顔をしているだろう?」
 少年が辺りを見回すと、互いに殺し合う人類たちは、みな一生懸命だった。
「みな一生懸命なのだ。世界を良くする為に。…美しいだろう?だからヒトは憎しみ合い、殺し合うのだな。」
 いつの間にか、少年と少女の姿が消え、声だけが響く。
「父さん、そんな事はどうでもいいんです。僕たちはあなたを殺す。それだけです。勝手に憎しみ合え。勝手に殺し合え。」
「人類なんてどうでもいいんです。私たちはあなたに復讐できれば、それでいいの。他者の揚げ足を取り続けろ。そして、自らの醜さに蓋をして、他者を蔑み続けろ。」
 丸木戸は辺りを見渡した。だが、少年と少女を見つけ出す事は出来ない。
「何処に行った?」
 ずぶり。
「ここです。父さん。」
 息子のシャベルが、神の心臓を貫いていた。
「いつの間に。」
「さよなら父さん。」
 娘のチェーンソーが、神の頭上に掲げられた。
 神はバラバラになった。

 再開発地区の真ん中に出来た赤い湖に、丸木戸は横たわっていた。
「…なんだかわからない内に殺られた。」
 息子と娘が、傍らに立っている。
「「父さん。」」
 丸木戸は頭だけを動かし、息子と娘を見た。
「…予想外だな。本当に。」
 息子。
「父さん。手を抜きましたね。神であるあなたが、こんなに簡単にやられる筈がない。」
 娘。
「どうして?お父さん…」
 丸木戸。
「実の子らを殺す事は出来なかったみたいだ…本当の事を言うと、もうどうでも良くなったんだ…」
 丸木戸は空を見た。
「結局、人類はどこまで行っても醜い。美しくない。美しい人類なんてのは、醜さを認めたくない人間が被せたフィルターだ…」
「父さん…」
「絶望しながら生きなければならないという事がどれだけ辛い事か…」
 丸木戸の目から涙が溢れる。
「諦めちゃいけない。でも裏切られる。肥溜めの世界で生きていかなければならない…お前たちを殺す事が出来なくて、本当に残念だ。父親として、お前たちには、辛い目には遭って欲しくない…」
 息子と娘は優しく微笑んだ。
「父さん。大丈夫です。僕ら…裏切られるかも知れないし、人間がいかに醜いかって事も、わかってます。」
「それはお父さんが教えてくれたんです。」
「父さん。僕らはいつまでも子供じゃない。辛い目に遭うのなんか、覚悟の上です。それでも僕らは、死ぬまで生きます。」
 丸木戸は少し意地悪に尋ねた。
「…なんの、ために?」
 息子と娘は、はっきりと答えた。
「「自分のために。」」
 丸木戸は目を瞑り、微笑んだ。
「…お前たちは、人間だ。」
 それっきり丸木戸は動かなくなった。
 少年と少女は歩き始めた。
 はるか天上で、思考コントロール用電波衛星が爆発し、空に美しい花火が広がった。
 人類はいまだ醜くかったが、その花火だけは美しかった。それだけは言えた。
「…神は、死んだ。」

 この闘いによって全人類の実に80%が死に至った。
 世界各地で復興が始まり、思考コントロールから解放された人類は、何処か生き生きしているように見えた。
 だが、愚かな争いが、再び、起きていくだろう。
 それが人類のありのままの姿なのだった。

 神は天に居まし、世は全て事もなし。

【LGSD】
【レッツ・ゲットセット・デス】

完。



  1. 2008/12/06(土) 17:17:22|
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LGSD

 7日正午。
 空は、雲一つない晴天。
 花霞再開発地区。都会の真ん中に、不自然なほど開けた土地。周囲をビルの山脈に囲まれた広大な空き地。
 丸木戸は、短い草に覆われた、再開発地区を歩いて行く。
 空き地の中央に、人影が見える。近付いていくと、それは、学生服を着た少年と少女だ。
 今、丸木戸と、学生服の少年少女、3つのシルエットだけが、だだっ広い再開発地区の中央にポツンと存在している。
「…来てくれましたね。父さん。」
 少年の言葉に、丸木戸は少し驚く。
「父さん?」
 少年の顔に見覚えはない。
「わかりませんか?…僕は、藤原千冬とあなたの息子です。」
 藤原千冬。原因不明の奇病に冒されていた、キチガイ兄妹の妹の方だ。
「ほぉ…あの娘、死んでも子を宿したか。」
 少女が口を開く。
「お父さん。私の事はわかりますか?」
 少女の顔を見る。見覚えはないが、この娘はきっと。
「私は、橘沙織の娘です。」
 橘沙織。あの幼女だ。愛犬ぴっちを助けて欲しいと懇願してきたあの小学校5年生の。
 丸木戸の顔に笑みが浮かぶ。
「ははは。そうか。死母の息子と、幼女の娘が…」
 旅客機がゆっくりと空を横切っていく。
「道理で。思考コントロール下で俺を呼び出すなんて芸当が出来たわけだな。…何の用だ?」
 少年は、表情を変えず淡々と喋る。その様子は、確かに、父親に似ているかも知れない。
「父さん。僕は、生まれた時から、あなたへの復讐しか考えられなかった。何をしていても、父親であるあなたに復讐する、その想いは消える事がなかった。」
 少女が言葉を繋ぐ。彼女も淡々と喋るのだ。やはり、娘だからか。
「お父さん。私は、私たちは、父さんの事なんか知らなかったんです。生まれた時に、お母さんは死んでしまったから。だけど、父さんに会って、復讐しなきゃって、ずっと思っていたんです。」
 少年が伏し目がちに言う。
「…やっと会えたのに、復讐しなければいけないなんて。」
 丸木戸は黙って聞いていた。
「父さん。教えてください。僕たちは、父親に復讐するためだけに生まれたのでしょうか。そのようにあなたが仕組んだのでしょうか。」
「お父さん。私たちは、本当にあなたに復讐しなければいけないんですか?」
 丸木戸は優しく微笑んだ。
「お前たちは、ほんの気紛れだ。」
 風が吹いた。
「まさか、死んでいた女や、小5の女の子が子を宿すなんて思ってもいなかった。イレギュラーだ。お前らは。神の予想外だ。」
 …神は天に居まし、世は全て事もなし…
 ブィィィーンッ!
 少女がチェーンソーのスイッチを入れた。
 ブンッ、ザクッ!
 少年がシャベルを振りかぶった。
「姉さん。僕、わかりました。やはり、復讐しなければならないようです。」
「ええ。復讐しなければ。それしか考えられない。」
 娘がバラして、息子が埋める。
「ほぉ…こんな良い天気の日に。息子と娘が、神を殺そうというのか。」
 神は姿を変えた。
「良いだろう。殺りたきゃ、殺れ。その代わり、俺もお前たちを殺す。」
 神は、丸木戸誠、藤原千冬、橘沙織の3者が繋がった、見るもおぞましい姿をしていた。
「ラスボスには相応しい姿だろ?ふはは。ははははは。はははははははははは!」
 だだっ広い再開発地区の周囲に、いつの間にか人の輪が出来ていた。何事かと集った野次馬たちだ。その内何人かは、神の、生理的嫌悪感を激しく揺さぶる姿を見て、嘔吐した。ある者は恍惚の表情を浮かべ、またある者は息を呑み、神と、神の予想外たちの闘いを見守った。
「闘うか?命を懸けて闘うか?魂を懸けて闘うか?…そんな事はどっちでもいいにょら!闘う事しか本能にない愚かな息子よ!復讐の娘よ!ラストバトルの舞台は整った。来なさい。神が殺してあげよう。歓喜の極みと知れ。そして、恍惚の中で死ぬがよい!」
 人の輪が声を合わせて歌い始めるのだった。
 それは、ラストバトルのミュージック。

おお友よ、このような音ではない!

我々はもっと心地よい

もっと歓喜に満ち溢れる歌を歌おうではないか

歓喜よ、神々の麗しき霊感よ

天上の楽園の乙女よ

我々は火のように酔いしれて

崇高な汝の聖所に入る

汝が魔力は再び結び合わせる

時流が強く切り離したものを

すべての人々は兄弟となる

汝の柔らかな翼が留まる所で

ひとりの友の友となるという

大きな成功を勝ち取った者

心優しき妻を得た者は

彼の歓声に声を合わせよ

そうだ、地上にただ一人だけでも

心を分かち合う魂があると言える者も歓呼せよ

そしてそれがどうしてもできなかった者は

この輪から泣く泣く立ち去るがよい

すべての被造物は

創造主の乳房から歓喜を飲み

すべての善人とすべての悪人は

創造主の薔薇の踏み跡をたどる

口づけと葡萄酒と死の試練を受けた友を

創造主は我々に与えた

快楽は虫けらのような弱い人間にも与えられ

智天使ケルビムは神の御前に立つ

神の計画により

太陽が喜ばしく天空を駆け巡るように

兄弟たちよ、自らの道を進め

英雄のように喜ばしく勝利を目指せ

抱き合おう、諸人よ!

この口づけを全世界に!

兄弟よ、この星空の上に

父なる神が住んでおられるに違いない

諸人よ、ひざまずいたか

世界よ、創造主を予感するか

星空の彼方に神を求めよ

星々の上に、神は必ず住みたもう

 その歌声はいつしか巨大なコーラスとなって、最後の闘いを彩っていった。

つづく



  1. 2008/12/06(土) 15:20:34|
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LGSD

 丸木戸が神になってからどれ程の時が過ぎただろうか。
 平和になった世界で、丸木戸は、若干の退屈を覚えながらも、それなりに生活していた。
 簡単な事だった。全人類の思考をコントロールするだけで、地球は楽園になるのだ。生態系も、少しずつではあるが回復して来ている。このまま行けば、再び、美しい地球に戻るだろう。
 地球の平和に比べたら、俺一人の退屈なんて全然大した事じゃない。

 ある日の事。
 丸木戸は、何気なく郵便箱を覗いてみた。
 すると、そこには一通の手紙が入っていた。

神へ
花霞再開発地区にて
7日正午
お待ちしております

 差出人は不明だった。
 面白い。ちょうど退屈していたんだ。
 丸木戸は7日を楽しみに待つ事にした。

つづく



  1. 2008/12/06(土) 08:56:12|
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LGSD

 丸木戸は考えていた。

 地球上に溢れる問題は、その大半が、人類の存在に起因するのではないだろうか。
 人類の不安定性が、生態系を振り回し、結果、人類の首を絞めている。
 しかし人類は、それに気付かない。気付いていても、楽がしたいから、改めようとしない。結局は我が侭に生きたいのだ。
 『改善しよう』と言う声も出るには出るが、それも一時的な事に過ぎず、同じ過ちを繰り返す。『歴史は繰り返す』?…何が『歴史は繰り返す』だ。格好付けてんじゃねえ。言い訳だそんなのは。
 人類には、本当に、向上心というものがあるのだろうか?
 本当は、良くしようという気など無いのではないか?

 …ならば、もう、劇的に変化させるしかないだろう。

 アパートの一室に、様々な研究装置を運び込んだ。

 研究開始。

 できた。

 丸木戸は、ある天気の良い日に、ロケット発射施設に行き、完成したものを打ち上げた。
 それは、宇宙空間に到達すると、天使の翼のように、アンテナを広げ。
 特殊な電波を地表に向かって照射し始めた。
 その電波は人間の脳に作用を及ぼした。
 電波を浴びた人間は、思考パターンを書き換えられ、結果、世界人類が争う事を止めた。
 世界人類がニコニコ笑いながら暮らし始めた。不安や恐怖があっても、絶対に誰かが助けてくれる。憎しみ合いはなくなり、誰もが、最善の人間関係を送れるように互いに努力をする。
 見よ、地上には笑顔が溢れている。
 こうして、世界は平和になった。

つづく



  1. 2008/12/06(土) 08:38:16|
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LGSD

 丸木戸はテレビを見ていた。
 しばらくチャンネルサーフィンをしていたが、ニュース番組で止めた。
 海の中央に浮かぶ小さな島の映像をバックに、ニュースキャスターが喋っている。
「…に位置する我が国のT島ですが、X国は頑なに領土権を主張しています。」
 映像が切り替わり、島の上で、X国の政府の高官たちが、X国の国旗を背ににこやかに微笑んでいる。
「これに対し、我が国政府は、『遺憾である』とコメントしましたが、具体的な対策は未だ取られておりません。」
 映像がスタジオに切り替わった。スタジオの大きなモニタには、つい先ほどの、微笑むX国の高官たちの画像が映っている。
 ニュースキャスターが、コメンテーターの男に話し掛ける。
「…さん、T島をめぐる我が国とX国の領土問題ですが。」
「これはねえ、侵略行為ですよ。他国の領土にね、国旗を立ててね、こんな事やって。これで政府が何もしないのはおかしいですよ。」
 スタジオのモニタが切り替わり、円グラフを映し出す。ニュースキャスターが喋る。
「これは、街角でのアンケートの結果です。実に67パーセントの人が、政府の対応に、『不満である』との意見を寄せています。」
 コメンテーターが苦虫を噛み潰したような顔を浮かべる。
「…これじゃあね、国家の信用問題にも関わりますよ。国際社会でもね、相手に」
 そこで丸木戸はテレビを切った。
 …くだらねー。
 何が領土問題だ。何が国家の信用問題だ。小さい島一つでぎゃあぎゃあ騒ぎやがって。くだらねー。くだらなさすぎる。このニュース番組も、情報操作まがいの事しやがって。こいつら、メディアがどれだけの影響力を持ってんだかわかってねえんじゃねえか?それともわかってやってんのか?だとしたら完全な情報操作じゃねえか。クソが。クソが。
 丸木戸の心に沸々と怒りが煮えたぎり始めた。
 丸木戸は怒りの中で、ある決意をした。

 次の日、丸木戸は、休日を利用して秋葉原で買い物をした。

 買ってきた部品をコツコツ組み立てていく。

 完成した。

 有給を取った。

 完成した物を持って、丸木戸は、小さなボートに乗り、T島へ向かった。

 T島の近くに来ると、X国の巡視船から機銃掃射を受けた。
 そんな物お構いなしに、丸木戸は、T島に上陸すると、完成した物を地面に置き、再び小さなボートで島から離れた。
 十分に離れた後、丸木戸が、リモコンのスイッチを押すと。
 辺りは閃光に包まれ、続いて凄まじい爆音が響きわたった。
 T島は、丸木戸が作った、爆発範囲内にある物質を分子レベルで分解してしまう爆弾の影響で、跡形もなく消滅した。

「…して、T島をめぐる領土問題は予想も出来なかった形で解決しました。突然起きたこの現象を、一部の市民は、『神の雷』と呼んでおり…」
 ニュースを見ながら、丸木戸は独りごちた。
「くだらねー。」

つづく



  1. 2008/12/05(金) 22:04:18|
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LGSD

 夜。
 暗い病室。
 患者服を着て、ベッドに横たわる少女。
 そこに歩み寄る人影。
「…千冬。」
 少女はゆっくりと目を開いた。
「お兄…ちゃん?」

 病院の屋上。空には満点の星が輝いている。
 2つの人影。1人は、藤原優。もう1人は、その妹、藤原千冬。
 妹は車椅子に載せられ、兄がそれを押す。
「お兄ちゃん…」
「千冬…もうすぐ、楽になれるからな。」
 千冬は黙って頷く。その顔には、不安も恐怖もない。あるのは安らぎ。彼女には、兄の言葉の意味がわかっている。「楽になれる」。それは、「死にたい」という願望が叶うという事だ。つまり、兄はこれから自分を殺そうとしている。
 お兄ちゃんが私を殺してくれる。こんなに嬉しい事なんてないわ。
「ちょっと待ってろよ。」
 兄は屋上をぐるりと囲むフェンスに近寄ると、ワイヤーカッターでフェンスの一角を切断し始めた。
 ぱちん、ぱちん。静かな屋上に、兄がフェンスを切る音だけが響く。
 やがて、人が通れるくらいの穴が開いた。
 兄は妹に歩み寄って、優しく声をかける。
「ごめんな。本当ならもっと良い場所に連れて行ってやりたかったけど…」
 妹は静かに頭を横に振る。
「ううん。いいの…お兄ちゃんが殺してくれるなら…」
「ごめんな、千冬…ごめんな。お兄ちゃんも一緒に行ってやるからな。」
 千冬は狂喜した。ああ!大好きなお兄ちゃんと一緒にイけるなんて!
「ありがとう…お兄ちゃん…」
 兄は微笑むと、妹を抱きかかえ、フェンスの穴に向かって歩き出した。その向こうには地上70メートルの屋上の縁が…いや、天国への道が待っている。
「お兄ちゃん。」
「ん…?」
「お兄ちゃん…これからはずっと…一緒だよね…?」
「…ああ。」
「お兄ちゃん…」
「千冬…」
「待て!」
 兄と妹は、声のした方向を反射的に見る。そこには、長身痩躯の男が立っていた。
 丸木戸だった。
 兄は憎しみに顔を歪める。
「…なんだよ。丸木戸。邪魔しに来たのか?」
「藤原。やめろ。馬鹿な事をするんじゃない。」
 途端に藤原の顔に狂気の笑みが浮かぶ。
「『馬鹿な事をするんじゃない』?ふふは!ははははははは!『馬鹿な事をするんじゃない』?何がだ!?何が馬鹿な事だ!おれはなあ、妹を苦しみから救ってやるんだよ!ははははははは!」
 駄目だ。兄はもう、狂っている。
「藤原ぁあ!妹さんがそれを本当に…」
 望んでいるのか。
 丸木戸はそう言いかけ、妹の顔を見て、言葉に詰まった。
 妹の顔も歪んでいる。憎しみに。
「邪魔しないで!これからお兄ちゃんと一緒にイけるのに!どうして邪魔をするの!?」
 兄と妹は2人とも狂気に満ちていた。
 丸木戸は絶句した。
「兄様。ウフフ。見て。あの空。ウフフ。死ぬには良い夜よ。ウフフ。綺麗な星がきらきらウフフウフフ。」
「ハハハ。千冬。本当だね。ハハハ。星が綺麗だ。ハハハ。きっと僕らを歓迎しているんだハハハハハハ。」
「兄様。こんな綺麗な夜ね?歌を唄ってあげますわ。」
「千冬。こんな綺麗な夜だ。歌を唄ってくれ。」
 妹は唄いはじめた。

きらきらひかるよぞらのほしよ
まばたきしてるみんなをみてる
きらきらひかるよぞらのほしよ
きらきらひかるよぞらのほしよ
にいさまウフフウフフフフフフ
にいさまにいさまわたしだけのにいさま
にいさまだいすきだいすきだいすき
にいさまあああああああああああああ
ああああにいさまあああああああああ
あああああああああああああああああ
にいさまにいさまにいさまにいさま
ウフフウフフフフフフフフ
フフフフフフフフフフフフ

 夜の病院の屋上に、わけのわからない音が響きわたっていた。
「この、キチガイ兄妹がぁあー!」
 丸木戸が耳を塞ぎながら絶叫する。
 すると、妹の歌声がぴたりと止んだ。
 妹の首がガクリと横を向く。
 妹は、兄の腕の中で息を引き取った。
 その顔には、死してなお狂気が張り付いていた。
 しばらくの間、何が起きたのかわからず、ぽかんと口を開けたままの兄だったが、
「あ、ああ…ちふゆが…しんでしまった…」
 ドサリ、ゴツンと、妹を落とす。
「おれのちふゆが…おれだけのいもうとが…」
 丸木戸。
「言われた通り、死なせてやったぞ。」
 藤原兄。
「…ありがとう。」
 丸木戸は藤原兄妹に歩み寄ると、兄の身体の自由を奪った。
「!?」
 そして、妹の身体を抱きかかえた。
「な、何をするんだ…?」
 身体の自由を奪われた藤原は、動く事が出来ない。
「藤原。妹は貰うぞ。」

「な、何を…!」

「そんな、そんな事!やめろ!?狂ってる!お前…!やめ、やめ…うわあ。うわあああ。あああああああ!」

「うわああああああああああ」

 藤原は呪縛を自力で解くと、フェンスの穴から夜空へとその身を躍らせた。
「うわああああああああああ」
 やがて、下の方から何か嫌な音がした。 丸木戸は考える。
 この兄と妹を、ここまで狂気に駆り立てたものとは一体なんだったのか。
 藤原は最後、神の呪縛を解いた。人間にそんな力は無いはずなのだが。
 そして、藤原は、何故、俺に、「妹を救ってくれ」と言わなかったのか。
 あいつ、『俺が妹を救う』とか言ってたな…。
 そこで、怒りが込み上げてきた。
「人間が人間を救えるもんか。人間ごときが。図に乗んな。クズが。」
 夜の病院の屋上に、丸木戸の叫び声が響いた。
「図に乗んな人間ごときが!」

つづく



  1. 2008/12/05(金) 21:09:40|
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LGSD

 それから1ヶ月後。

 いつものように出勤した丸木戸は、同期・藤原の表情が優れない事に気付いた。いつもなら黙々と精力的に仕事をこなす彼だが、今日は、動作も何処か緩慢で、生気がない。
 見かねた丸木戸は、藤原に話し掛ける。
「藤原。どうした?元気ないじゃないか。」
「ん…いや…別に…」
 藤原は普段は無口ではあるが、話し掛けられれば愛想良く応対する。そんな藤原が、普段と違う。
 その表情には、いつもの藤原を見慣れた人間から見たら、明らかに陰が差している事がわかる。見慣れていない人間でも、彼を見たら、体調を崩しているのではないかと疑いたくなるに違いない。
「別にって…お前、ひどい顔してるぞ。疲れてんじゃないか?」
 藤原は黙ったままだ。
 丸木戸も、それ以上の言葉が出て来ず、沈黙した。
 しばらくの後、藤原が思い詰めたような表情で、丸木戸を呼んだ。
「…すまん、ちょっと来てくれ。」

 2人は喫煙所に来た。
 藤原は、煙草に火を点け、溜め息混じりにゆっくりと紫煙を吐き出すと、呟くように語り出した。
「俺の妹…病気なんだ。」
「病気?お前の、妹さんが?」
「うん…原因不明の病気。現代医学じゃ治療法がわからないらしい。病名も、何もかもが不明。発症例はたったの3件。…世界中でな。」
「…どんな病気なんだ?」
「…身体の自由が利かなくなる。歩く事もままならず、自分の意思と反して、時と場所に関係なく排泄してしまう。激しい頭痛に襲われる。…脳の何処かに異常があるんじゃないかって事で、スキャンしても、全く原因不明。意識ははっきりしていて、理性もある。精神病の一種かとも思ったが、そうでもないらしい。」
 藤原が、こんなに自分の事を喋るのは、丸木戸にとっては初めてだった。
「妹さんはいくつなんだ?」
「高2だ。…で、」
 藤原は煙草の火を消した。
「丸木戸。お前、神なんだよな?…お前に頼みがある。」
「なんだ?」
 藤原は丸木戸の目をじっと見て言った。
「…妹を死なせてやってくれ。」
 初めの内は、藤原が何を言っているのか、丸木戸にはわからなかった。だが、藤原の言葉を頭の中で何度も繰り返す内、どうしようもない怒りの感情が込み上げてきた。
「頼む、妹を」
 丸木戸は藤原を殴った。
 それでも怒りは収まらず、むしろ激しくなり、ついに丸木戸は声を荒げた。
「馬鹿野郎!なに、何言ってんだお前は!なんでそんなに簡単に死なせようとするんだ!実の妹なんだろ!?何とかして生かしてやろうと思わねえのか!」
 藤原は丸木戸に掴みかかってきた。
「俺だってなあ!俺だって、何とかしてやりたいんだ!」
 藤原の目に涙が浮かぶ。
「俺だって…俺だって…」
 丸木戸は黙っていた。藤原の手から力が抜けていく。
「…でも…治らないんだよ…辛そうに千冬が…言うんだ…『死にたい』って…」
 藤原はそれ以上は言わなかった。
 丸木戸の怒りは収まっていた。藤原を優しく諭す。
「…もしかしたら、治療法が見つかるかも知れないだろ?そう遠くない内に…妹さんはまだ若いんだ…そんな簡単に、お前が諦めてどうするんだよ。」
 しばらく、藤原は黙ったままだったが、
「…わかった。もうお前には頼まない。」
 そう言って喫煙所を後にした。

つづく



  1. 2008/12/05(金) 17:14:45|
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LGSD

 丸木戸は公園に立ち寄った。
 いつもは寄り道などしないのだが、駅からずっと付いて来る、背後の気配の正体を確かめようと思った。
 立ち止まり、振り返る。
 するとそこには、小学校5年生の可愛らしい女子が立っていた。
 ぽかんとする丸木戸に、小5女子が話し掛けてきた。
「お兄ちゃんは、神様なんでしょう?」
 丸木戸はしゃがみ込んで、小5女子と目線を同じ高さにした。
「そうだよ。何か用かな。」
「ぴっちを助けて。神様なら何でもできるんでしょう?」
「ぴっち?ぴっちって?」
「あのね。ぴっちは犬。私の家の。」
 丸木戸の脳裏に、年老いた犬の姿が映った。毛布の上に、生気なく横たわっている。ぴっちはもうじき死ぬ。寿命だ。
「…ぴっちを助けたいの?」
「うん。ぴっち、最近元気がないの。お父さんに聞いたら、寿命だって。仕方ないって言うの。でも、ぴっちは…」
 少女はぴっちへの想いを訥々と語る。
 しかし、寿命は寿命だ。仕方がない。少女の父親の言った事は間違いない。だが、この幼子は、それを認めたくないのだ。
 お気に入りの、可愛いぴっち。いつまでも、私の側にいて欲しい。
「うん。わかった。ぴっちを助けてあげる。」
「本当!?」
 少女の顔にみるみる笑顔が表れる。
「ぴっちの所に連れて行ってくれないかな。」
「うん!こっちだよ!」
 少女は駆け出した。いても立ってもいられないといった様子だ。
 丸木戸は後を追った。

 着いたのは、住宅街の一角。2階立ての、普通の一軒家。
「ぴっちはこっちだよ!」
 少女は息を切らせながら、靴を脱ぎ捨てるや否や、家の奥へと入っていく。少女とすれ違うように、30代位の母親が姿を見せた。
「こら!沙織!ただいまは!?…あら?」
 少女の母親は、玄関に立つ丸木戸の姿を認めると、少し驚いた顔をした。
「…神が、何の用ですか?」
「お嬢さんに頼まれました。ぴっちを助けて欲しいと。」
「そうですか。でもぴっちは…」
「神様!何してるの!ぴっちが!」
「失礼します。」
 少女の慌てた声に急かされ、丸木戸は家に上がった。
 居間に行くと、老犬ぴっちは、淡い緑色の毛布の上で静かに横たわっていた。
「ぴっち…神様が来たよ。もう大丈夫だよ。」
 ぴっちは、力無げに、少女と丸木戸を見上げた。
 丸木戸は少女を見、もう一度念を押す。
「本当に、ぴっちを助けていいね?」
「うん!」
 少女は屈託なく頷いた。
「…わかった。ぴっちはもう元気だ。」
 既にぴっちは立ち上がって尻尾を振っていた。先程までの力無い様子が嘘のようだ。顔付きこそ老犬だが、その全身には、若犬の勢いが満ち溢れていた。
「やったあ!ぴっちが元気になったあ!」
 少女はぴょんぴょんと跳ね、全身で喜びを表現した。ぴっちも、嬉しそうに尻尾を振った。
「良かったね。…じゃあ、」
 丸木戸は、傍らで一部始終を見守っていた少女の母親に顔を向けた。
「お嬢さんの処女は戴きます。」

……。

「え?何、するの?」

「神に願い事を叶えて貰うという事がどういう事か。まさかタダでいいと思ってたの?…沙織ちゃん。可愛い可愛い沙織ちゃん。ひひひ。ひひひひひ。つぶらな瞳。花のような唇。子羊の柔肌。全部。全部俺のもの。ひひひひひ。ひひひひひひひひ。」

「いたい!いたいよ!」

「えーん。えーん。」

「いたいよ…どうしてこんなこと、するの?」

「神を見つけたのはラッキーだったね。そして願い事を叶えて貰った。沙織ちゃんは良い事を先取りし過ぎた。引き換えだよ。良い事だけを味わう事は出来ないんだよ。」

……。

 丸木戸は玄関で靴を履く。
 背後には、少女の母親が立っている。
 靴を履き終え、丸木戸は立ち上がった。
「では、失礼します。」
 ドアノブに手をかけた所で、
「…あの。」
 少女の母親に顔を向ける。彼女は、何か言いたげな表情で丸木戸を見つめている。
 少しの間の後、彼女は言った。
「この、ゲス野郎が。」
 丸木戸は爽やかな微笑を彼女に向け、家の外に出た。
 ドアがガチャリと閉まる。その向こうから叫び声が響いた。
「この、ゲス野郎がぁあー!」
 そこで丸木戸は耐えきれなくなった。
「…あっはははははは!ははは!はははははは!あっはははははははははは!」

つづく



  1. 2008/12/05(金) 16:12:45|
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LGSD・another

 ここで丸木戸の物語から離れ、ある1人の男の話をしよう。

レッツ・ゲットセット・デス・アナザー
LGSD・another

 男の人生は何の変化もない、退屈な人生だった。
 男は真面目だけが取り柄のような人間で、容姿も人並み、知能も人並み、運動能力も人並み。ずば抜けて秀でた能力もなく、これといった特徴もなかった。
 しいて挙げるならば、周りの人間より、少しだけ、思考が深かった。
 男はそんな自分の人生を、我ながら不遇なものと感じていたが、特に改善しようという努力もしなかった。
 ただ毎日を淡々と生きた。
 そして、男は、78歳でこの世を去った。 誰にも看取られる事なく、入院していた病室で、ひっそりと息を引き取った。

 男が意識を取り戻したのは、小学校の教室のような場所である。
 がらんとした部屋の中央に、一つだけ、ぽつんと机が置かれている。男はその机の前に立っている。ちょうど、教師に名指しされた生徒が、起立して発言する時のように。
 男に話しかける声がある。
「どうでしたか?人生を振り返ってみて。」
 男は答える。
「特に変化もない、つまらない人生でした。」
「つまりませんでしたか。しかしあなたは真面目に生きました。」
 男は割って入る。
「真面目に生きましたが、報われる事はありませんでした。」
「それについてどう思いますか?」
「まあ、そんなものなんじゃないでしょうか。人生なんて。真面目にやったから、努力したから、報われる。人生にそんな事はないと思います。」
「努力しましたか?」
「それなりに頑張ったつもりです。しかし報われる事はありませんでした。」
「そうですか。それなりに、ね。しかし、絶対基準からすると、あなたは頑張ったとは言えません。」
「え?」
「あなたは自分で、自分は頑張ったと思い込んでいただけでした。あなたに褒賞を与えるには、あなたの努力は足りなかったのです。」
「褒賞?それはあなたが与えていたのですか?」
「はい。ただし基準があります。基準に満たない努力の量では、褒賞は発生しません。」
「……。もっと早く言ってくれれば。」
「残念でした。生きている間は、言ってはならない事になっています。規則です。」
「そうですか…そうだったんですか。」
「…気休めかも知れませんが、あなたのようなヒトはたくさんいますよ。大した努力もせずに生き、死後、事実をしって絶望するヒトというのは。」
「まあ…それは、わかる気がします。」
「ええ。ところで、実は…やり直す事も出来るんですが。」
「え?やり直す?」
「はい。全く同じ境遇で生まれる所から、もう一度始められます。ただし、今までの記憶はもちろん、リセットされます。」
「まあ、そりゃそうでしょう…」
「それでもやり直す気はありますか?」
「同じ出来事が起きるんですか?」
「あなたの行動次第になります。完全に0からのスタートですから、その先に何が起こるかは、あなた次第です。行動に対する反応はこちら側に決定稿がありますが…どういった行動を取るかで、あなたの身に起こる出来事は変わります。」
「なるほど…やり直した人生で、どういった行動を取るかについては未知数なんですね?」
「はい。」
 男は考える。今回の人生は実につまらないものだった。やり直す事ができるのなら、例え0からの再スタートだとしても…。
「…やり直します。」
「わかりました。では、人生の後に、またお会いしましょう。」
 男の感覚が薄れていく。

 病室で、1人の赤ん坊が産声を上げ始めた。
 この赤ん坊こそが、やり直しを選択した男だった。
 もはや、先程まで…謎の部屋で意識を失うまでの…記憶は全て消え、男はただただ泣いていた。

 結局、また、同じような、退屈な人生を送ってしまう事も知らずに。



  1. 2008/12/02(火) 23:30:48|
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レッツ・ゲットセット・デス

 会社にて先輩を殺した神・丸木戸は、定時になったので帰る事にした。

 駅。丸木戸は、やって来た電車に乗り込む。
 車内。座席は全て埋まっていた。しかし、立っている人間は2、3人。いつも見慣れた光景だ。
 そして、乗車口のすぐ前で輪になり、床に直に座り込んで、大声で会話する高校生5人組。高校生5人組の見た目は、お世辞にも勉強が出来るとは言えそうにない。
 これもいつもの光景だった。
 しばらくの後、電車が駅に停車した。乗車扉が開いた。
 だが、高校生5人組は全く動こうとしない。お構いなし、と言うより、扉が開いた事に気付いてすらいないようだ。
 扉の外のホームには、明らかに困惑顔の乗客が、さてどうやって乗り込んだものかと思案している様子が伺える。
 丸木戸は高校生5人組に歩み寄った。
 それでも高校生達は反応しない。
 丸木戸は声を出した。
「おい」
「なんだよてめえ?」
 丸木戸は目の前にいた高校生の頭を思いっ切り蹴り飛ばした。
 蹴られた男子高校生の首は、文字通り、胴体から千切れてすっ飛んでいった。首は車内の壁にドカンとぶつかり、床に落ち、ゴロリと転がった。
「…気付いてんじゃねえか。どけよ。邪魔になってんだよおめーら。」
「ひいいいいいいっ!」
 高校生達は腰が抜け、立ち上がる事も出来ず、地べたに座り込んだまま情け無い声を出した。床に水溜まりが広がっていく。全員が失禁したのだ。
「…床を汚すんじゃねえよ!」
 丸木戸は2人目の首を“蹴り飛ばした”。
「ぎゃあああああっ!」
 残り3人は、飛び出さんばかりに目を見開き、裂けるほど口を開いて叫んだ。
 …うるせーんだよ。
 もはや丸木戸は口を開く事すら億劫になっていた。
 めんどくせーなー。
 1。2。3。
 丸木戸は残りの高校生達の首を次々とはねていった。
 高校生達は全員、首と身体の2パーツに分離し、息絶えた。
 もはや、駅、電車内は混乱そのものであった。
「はいはい、どいてください。離れてください。」
 そこに駅員がやって来た。駅員は、混乱など全く意に介さぬといった、落ち着いた様子。人身事故で慣れているのか、眼前の5つのボディパーツを見ても動揺せず、丸木戸の前に立った。
 駅員は辺りを見渡しながら、
「あ~…これ、あなたが?」
 丸木戸は特に表情も変えず。
「はい。」
「殺してしまったんですか…」
「すみません。邪魔でしたので。」
「はあ…まあ、仕方ありませんか。あなた、神ですものねえ。」
 駅員は帽子を取り、手で髪の毛を軽く撫でつけると、また帽子を被った。
「…結構です。ただ、この電車は運行を見合わせなければなりませんので、しばらくお待ち頂くか…」
「いえ。歩いて帰ります。」
「あ、そうですか。わかりました。では、料金は頂きませんので…改札で駅員にそのようにお伝えください。」
「わかりました。どうもすみません。」
「いえいえ。結構ですよ。」
 丸木戸は駅員にお辞儀をすると、改札口へと歩き出した。
 その背中をじっと見つめる視線が一つ。

つづく



  1. 2008/12/01(月) 21:06:09|
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レッツ・ゲットセット・デス

 次の日。

 神となった丸木戸は、いつも通り会社に行き、仕事をしていた。
 丸木戸の向かいの机に席を持つ、3年上の先輩が、自分の隣の席に座る、丸木戸の同期を相手に、会話を始めた。
「な~藤原、昨日の休みは何してた?」
 他愛のない会話だ。この先輩はいつもこんな感じで、無駄口を叩きながら仕事をしている。仕事の能力は、はっきり言って中の下。だが、口の巧さのせいか、上司からはさほど悪評は得ていない。
 丸木戸はこの先輩が苦手だった。他人の悪口を平気で触れ回るからだ。悪口を言うのは、人として仕方のないこと。だが、この先輩の場合は、あたかも自分が万能の人間であるかのような口調でもって、他人を蔑むのだ。丸木戸にはその部分がどうしても許せなかった。
 同期の藤原は、普段は無口な方だが、付き合いのいい男で、話しかけられれば快く応対する。今回も同じだった。
「昨日ですか?昨日は…彼女と遊びに行きましたよ。」
「なに?何して遊んだの?」
 …そんなのお前にはどうでもいいじゃないか。
「映画見て、飯食って…それぐらいですね。」
 藤原は、丸木戸の方をちらりと見た。たまたま、丸木戸も藤原をちらりと見、2人の視線が交わった。
 藤原は丸木戸に向かって言った。
「丸木戸は?」
 丸木戸はさり気ない口調で答える。
「俺は…街をぶらぶらしてた。」
 藤原。
「へえ。ぶらぶらすんの、好きなの?」
「うん。特に目的も無しに、ただぶらぶらするんだ。」
「あ、わかるね、それ。俺もたまにあるよ。」
 先輩。
「1人でか?」
 丸木戸。
「はい。」
「…つまんねー奴。」
 瞬間、丸木戸の中で何かが爆発した。
 丸木戸は手元にあったシャープペンシルを、先輩に向かって投擲した。シャープペンシルは真っ直ぐ飛んで行き。
 ゴチュッ、という音を立てて、先輩の頭部を貫通した。
 間もなく、カラリリ…と乾いた音。シャープペンシルは、先輩の後方の床に転がった。
 先輩の眼球がぐるりと上を向き、ほとんど白目を剥く形になった。口は、パクパクと意味なく動く。5秒程そうした後、ガクリと首が前に垂れ、先輩は動かなくなった。シャープペンシルが作り出した穴から、タラタラと真っ赤な血液が垂れ始めた。
 藤原が弾かれたように席から立ち上がる。その驚愕の視線は、初めは先輩に向けられていたが、やがて丸木戸へと移った。
「こ…殺しちゃったのか…」
 丸木戸は藤原をじっと見据えたまま、黙って頷いた。
「何も、殺さなくても…」
 丸木戸の顔に、この世の者とは思えないような、爽やかな笑顔が浮かんだ。
 藤原は落ち着きを取り戻したのか、再び自分の席に着いた。
「まあ、いいか…お前、神なんだもんな…」
 藤原はそう言って、自分の仕事に戻った。
 丸木戸もそうした。

つづく



  1. 2008/12/01(月) 19:40:30|
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